看護学校の学費は、進む道によって総額が600万円以上変わります。この記事では、現役の看護大学職員が、大学と専門学校の学費相場、国の支援制度、奨学金の選び方、そして看護ならではの「病院奨学金」の注意点まで、学校の内側から見た実情を交えて解説します。
「看護師になりたいけれど、学費が心配で」——進路相談でいちばん多い相談です。実際、看護は実習が多く、他の学部より学費が高くなりやすい分野です。ただ、お金の理由で看護師を諦める必要はほとんどありません。使える制度が想像以上に多いからです。
問題は、その制度の存在を知らないまま出願時期を迎えてしまう人が毎年いること。奨学金には申込期限があり、過ぎてしまうと1年待つしかないものもあります。だからこの記事は、金額の話だけでなく「いつまでに何をするか」まで書きました。
もうひとつ、看護には他の分野にない事情があります。看護師不足を背景に、国・自治体・病院がそれぞれ独自の支援制度を用意しているのです。文系の学部より選択肢が多い一方で、制度が複雑に絡み合っていて全体像が見えにくい。学校のパンフレットにも断片的にしか載っていません。その全体像を、一度まとめて整理します。
💡 この記事のポイント
- 看護学校の学費は公立専門学校で約60〜150万円、私立大学で約600〜750万円
- 2025年度から子ども3人以上の世帯は所得制限なしで授業料等が減免
- 2026年度からは高校3年生の「予約採用」でも多子世帯支援に申し込める
- 看護特有の病院奨学金は、契約内容の確認を絶対に省略しない

看護学校の学費はいくら?大学・専門学校の相場【2027年版】
4年制看護大学の学費
国立大学の授業料は、国が定める標準額が年間535,800円、入学金が282,000円です。4年間で約250万円ほど。公立大学もおおむね同水準ですが、自治体外からの入学者は入学金が高く設定されていることが多く、この点は見落とされがちです。同じ大学でも、県内出身か県外出身かで入学金が倍近く違うケースがあります。
なお近年、国立大学の中には標準額を超える授業料を独自に設定する動きも出ています。「国立だから一律54万円」と思い込まず、志望校の最新の募集要項を確認してください。
私立の看護大学は、年間の授業料が150万円前後の学校が中心です。初年度は入学金が加わるため180〜200万円ほどになり、4年間の総額はおおむね600〜750万円。国公立との差は、4年間で350万円から500万円に達します。
3年制看護専門学校の学費
専門学校は設置者によって金額が大きく変わります。
自治体立や医師会立などの公立系は非常に安く、3年間の総額で60〜150万円程度。年間の授業料が20万円台という学校も珍しくありません。これは、地域の看護師不足を背景に自治体が費用を負担しているためです。
一方、私立の専門学校は3年間で250〜400万円程度。大学より安いとはいえ、公立系との差は大きく、ここでも100万円以上の開きがあります。
授業料以外にかかるお金
ここがいちばん見落とされます。募集要項に大きく書かれている「学費」は入学金と授業料だけで、実際には別途かかる費用がかなりあります。
年間10〜20万円程度を別建てで徴収する学校が多くあります。
看護は専門書が多く、1年次だけで5〜10万円かかることも。
入学時に一式そろえる必要があり、数万円規模になります。
自己負担が原則。実習先が遠方だと想定外の出費になります。
実習前に抗体検査とワクチン接種が必須。数万円かかります。
4年次(3年次)に集中し、数万円になることがあります。
📝 現役職員メモ:オープンキャンパスで聞くべき質問
パンフレットの学費欄を見て安心する人が多いのですが、聞くべきはこれです。
「学費以外に、4年間(3年間)で合計いくらくらいかかりますか」
実習費・教科書代・ユニフォーム・交通費まで含めた実額を、学年別に答えられる学校は信頼できます。この質問に具体的な数字が返ってこない場合は、入学後に想定外の請求が来る可能性があります。
もうひとつ、「実習先はどのくらいの範囲に散らばりますか」も効きます。実習先が広域だと、交通費と時間の負担が3年間ずっと続きます。地味ですが、生活に直結する情報です。
看護学校の学費を減らす|国の修学支援新制度
制度の中身は「減免+給付」の2階建て
いま最も影響が大きいのが、国の高等教育の修学支援新制度です。授業料等の減免と、返還不要の給付型奨学金がセットになった制度で、2020年4月から始まりました。大学だけでなく、専門学校(専修学校の専門課程)も対象です。
住民税非課税世帯が満額支援を受ける場合、減免の上限額は次のとおりです。
※住民税非課税世帯(満額支援)の場合。出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
ここで大事なのは、減免には上限があるということです。私立大学の授業料が年間150万円なら、70万円が減免されても80万円は自己負担で残ります。「無償化」という言葉から全額タダを想像すると、入学後に慌てることになります。
2025年度から始まった多子世帯の無償化
2025年度(令和7年度)から、制度が大きく広がりました。子どもを3人以上扶養している世帯は、所得制限なしで授業料等の減免が受けられるようになったのです。
ポイントは、これが「3人目の子が対象」ではなく1人目から対象になることです。3人を同時に扶養している間に大学等に在学している子は、全員が対象になります。
そして2026年度からは、申込方法も変わりました。従来は進学後の「在学採用」のみでしたが、高校3年生の段階で申し込む「予約採用」でも多子世帯支援を受けられるようになっています。高校を通じて案内があるので、該当しそうなら必ず手続きしてください。
⚠️ 多子世帯支援で見落とされやすい3点
- 上の子が卒業して扶養から外れると対象外になる。在学中に支援が終わることがあります
- 自動では適用されない。日本学生支援機構への給付奨学金の申込と、学校への減免申請の両方が必要です
- 学業要件がある。出席率が6割以下になるなどした場合、支援が打ち切られ、すでに受けた分の返還を求められることがあります
自治体・学校独自の減免もある
国の制度とは別に、自治体や学校が独自の減免を設けている場合があります。たとえば東京都は2024年度から都立大学等で授業料の実質無償化を実施しており、都民であることを条件に一定年収未満の世帯が対象になっています。
看護分野は人材確保が政策課題になっているため、看護学生を対象とした自治体独自の支援が用意されていることも多い分野です。志望校のある都道府県・市町村のサイトを一度確認してみてください。
看護学校の学費を借りる|奨学金の基本を押さえる
まず「もらう」か「借りる」かを区別する
奨学金という言葉は、性質のまったく違う2つのものを指しています。ここを混同したまま申し込む人が本当に多いので、最初に整理します。
返還不要。修学支援新制度の一部で、家計基準・学業要件があります。
卒業後に返還する義務があります。実質的には借金です。
第一種(無利子)と第二種(有利子)
日本学生支援機構の貸与型には2種類あります。
第一種奨学金は無利子。借りた額をそのまま返します。ただし採用基準が厳しく、予約採用では高校の全履修科目の評定平均が原則3.5以上必要です。金額は学校の種別・設置者・自宅通学かどうかで決まります。
第二種奨学金は有利子で、月額2万円から12万円まで1万円刻みで選べます。採用のハードルは第一種より低く、利用者も多いのが特徴です。利率は上限3%と定められており、実際にはかなり低い水準で推移していますが、借りた額より多く返すことになる点は変わりません。
このほか、入学時の費用に充てる入学時特別増額貸与奨学金があり、10万円から50万円までを10万円単位で選べます。ただし単独では申し込めず、第一種または第二種と同時に申し込む必要があります。また入学前には振り込まれないため、入学金の支払いには間に合いません。ここは毎年勘違いが起きるところです。
予約採用と在学採用——申し込む時期がすべて
申込には2つのタイミングがあります。
予約採用は高校3年生のとき、在籍している高校を通じて申し込むもの。募集は春から夏にかけて行われます。在学採用は進学後に学校を通じて申し込むもので、春と秋の年2回です。
強く伝えたいのは、迷っているなら予約採用で申し込んでおくことです。採用されても、実際に必要なければ辞退できます。逆に、申し込まないまま高校を卒業すると、入学後の在学採用まで待つことになり、入学時のまとまった出費に間に合いません。
📝 現役職員メモ:入学後に相談に来る学生の共通点
毎年、入学して数週間後に「奨学金を申し込みたい」と相談に来る学生がいます。多くの場合、高校で案内は受けていたけれど「うちは対象外だと思った」「親が申し込まなくていいと言った」という理由で見送っている。
でも、家計基準は世帯年収だけで単純に決まるものではありません。扶養する子の人数、ひとり親かどうか、自宅外通学かどうかで判定は変わります。「たぶんダメだろう」で見送るのがいちばんもったいないのです。
判断に迷ったら、日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで目安を確認できます。それでも分からなければ、高校の先生に聞いてください。無料で、締切前にできることです。
看護学校の学費と「病院奨学金」|現役職員が伝えたい注意点
病院奨学金とは何か
ここからが、看護分野に特有の話です。
病院が看護学生に対して独自の奨学金を出し、卒業後にその病院で一定年数勤務すれば返還が免除される——これが一般に病院奨学金と呼ばれる仕組みです。月額5万円から10万円程度が多く、学校のパンフレットにも「病院奨学金制度あり」と書かれています。
看護師不足を背景に、多くの医療機関が採用の手段として設けています。使いこなせば学費負担を大きく下げられる、有力な選択肢です。
ただし「就職先の前借り」だと理解する
この制度の本質は、お金を借りることと、就職先を決めることがセットになっている点にあります。ここを軽く考えると、後で苦しくなります。
高校3年生や1年生のときに契約した病院に、卒業後の数年間を約束することになります。18歳の時点で、22歳以降の働き方を決めるということです。実習を重ねるうちに「自分は小児科に向いている」「急性期より在宅がやりたい」と気づくことは、珍しくありません。そのとき契約が足かせになることがあります。
契約前に必ず確認する5項目
制度そのものは悪いものではありません。問題は、条件を確認せずに申し込んでしまうこと。次の5点は、契約書にサインする前に必ず確認してください。
3年が一般的ですが、5年という契約もあります。借りた期間と同じ年数か、それ以上か。
ここが最重要です。一括だと数百万円を即座に用意することになります。
免除されなかった場合に利息が加算される契約かどうかを確認します。
系列病院が複数ある法人では、勤務地を指定されることがあります。
勤務年数にカウントされるのか、その分延長されるのか。長く働く上で効いてきます。
⚠️ 契約書は保護者と一緒に読んでください
病院奨学金の契約は、卒業後の進路を数年間拘束するものです。金額も総額で200万円を超えることがあります。
18歳が一人で判断する内容ではありません。必ず保護者と一緒に契約書を最後まで読み、分からない条項は病院の担当者に質問してください。 質問に丁寧に答えてくれるかどうかも、その病院を見る材料になります。
📝 現役職員メモ:それでも病院奨学金を勧めることがある
ここまで注意点ばかり書きましたが、否定しているわけではありません。実際、この制度があったから進学できた学生を何人も見てきました。
相性がいいのは、「地元で働きたい」という気持ちがはっきりしている人です。その病院で長く働くつもりなら、返還免除は純粋に得な仕組みですし、在学中から就職先が決まっている安心感は大きい。実習でその病院に行く機会も増えるので、入職後のギャップも小さくなります。
逆に、「まだどこで働きたいか分からない」「大学院や保健師も考えている」という段階なら、急がないほうがいい。迷っているなら、まず日本学生支援機構の奨学金で足りるか計算してからでも遅くありません。
看護学校の学費を総額で考える|3つのモデルケース
制度を並べても、自分の場合いくらになるのかは見えにくいものです。よくある3つのパターンで、卒業までにかかる金額と手元の負担がどう変わるかを整理します。金額はいずれも目安として読んでください。
ケース1:公立の看護専門学校(3年制・自宅通学)
3年間の学費が総額100万円ほど。ここに教科書代・実習用具・交通費などが年間15万円前後加わるとして、実質的な総額はおよそ145万円になります。
この規模なら、アルバイトと家庭の負担だけで乗り切れる可能性が十分にあります。奨学金を借りるとしても、第二種で月3万円ほどに抑えれば、卒業時の借入は100万円程度。新人看護師の給与でも返還は現実的な水準です。
学費だけを見れば、これがもっとも負担の軽い進路です。ただし公立系は募集人数が少なく、倍率も高くなりがちです。「安いから確実に入れる」わけではない点は押さえておいてください。
ケース2:私立の看護大学(4年制・自宅外通学)
4年間の学費が総額680万円。これに諸費用が年間20万円で80万円、さらに家賃・生活費が月10万円として4年間で480万円。合計すると1,200万円を超えます。
ここまでくると、奨学金なしで賄うのは多くの家庭にとって難しい。仮に第二種で月8万円を4年間借りれば384万円で、返還は15年以上に及びます。
だからこそ、このケースでは制度の組み合わせが決定的に効きます。多子世帯に該当すれば授業料70万円・入学金26万円の減免が入り、4年間で300万円以上が軽くなる。特待生制度が使えればさらに下がります。同じ大学に通っていても、制度を使った人と使わなかった人で数百万円の差が生まれるのがこの層です。
ケース3:私立の看護専門学校+病院奨学金(3年制)
3年間の学費が総額300万円。ここで病院奨学金を月7万円借りると、3年間で252万円になります。卒業後に指定病院で3年勤務すれば、この252万円は返還免除。実質的な自己負担は50万円程度まで下がります。
金額だけ見れば、ケース1に迫る軽さです。ただしこれは「卒業後3年間の勤務先を確定させる」という条件付きの安さだということを忘れないでください。
3年勤め上げれば大きな得になり、2年で辞めれば数百万円の返還が発生しうる。この振れ幅の大きさが、病院奨学金という制度の性格です。
📝 現役職員メモ:学費で進路を決めるべきか
「本当は大学に行きたいけれど、学費が心配で専門学校にします」——この相談を毎年受けます。
私はいつも、決める前にひとつ確認してもらいます。「制度を全部調べたうえで、それでも足りないのか」ということです。修学支援新制度、多子世帯の減免、自治体の修学資金、学校独自の特待生制度、日本学生支援機構の第一種。これらを積み上げると、想定より届くことがあります。
調べた結果それでも難しいなら、専門学校を選ぶのは何も悪い判断ではありません。専門学校を出て看護師として働き、後から大学に編入したり、保健師課程に進んだりする道も残っています。 看護は資格の世界なので、あとから積み上げが利くのです。
避けたいのは、調べないまま「無理そうだから」と決めてしまうこと。それだけです。
社会人から看護学校へ|学費の負担を軽くする制度
専門実践教育訓練給付金
社会人経験のある人が看護師を目指す場合、雇用保険の専門実践教育訓練給付金が使える可能性があります。厚生労働大臣の指定を受けた講座が対象で、看護師養成課程の多くが指定されています。
受講費用の一定割合が支給される制度で、条件を満たせば支給額はかなりの規模になります。雇用保険の被保険者期間などの要件があるため、まずハローワークで自分が対象になるかを確認してください。
学校を探すときは、募集要項や学校紹介ページに「専門実践教育訓練指定講座」と書かれているかを見てください。この記載がある学校なら、対象になる可能性があります。
看護師等修学資金
都道府県が実施している看護師向けの修学資金制度です。卒業後に指定された地域・施設で一定年数勤務すれば返還が免除される仕組みで、構造は病院奨学金と似ています。
違いは、相手が個別の病院ではなく都道府県であること。勤務先の選択肢が「県内の対象施設」と幅広く設定されていることが多く、1つの病院に縛られるより自由度が高い場合があります。地元で働くつもりがあるなら、病院奨学金より先に検討する価値があります。
看護学校の学費に関するよくある質問
Q. 学費がいちばん安いのはどの進路ですか?
自治体立や医師会立などの公立系の看護専門学校です。3年間の総額が60〜150万円程度で、私立大学の5分の1以下になることもあります。ただし人気が高く倍率も上がりやすいので、学力面の準備は必要です。
Q. 大学と専門学校で、卒業後の給料は変わりますか?
病院によりますが、大学卒のほうが初任給が数千円から1万円程度高く設定されていることが一般的です。ただし4年間で数百万円の学費差を給料差で埋めるには相当な年数がかかります。学費だけで比べるなら専門学校が有利で、保健師・助産師や進学の可能性まで含めるなら大学が有利、という整理になります。
Q. 奨学金はいくつまで併用できますか?
制度によります。修学支援新制度の給付型と第一種奨学金を併用する場合は、第一種の貸与月額が調整されます(0円になることもあります)。第二種は給付型による調整を受けません。病院奨学金や自治体の修学資金と日本学生支援機構の奨学金は、多くの場合併用できます。ただし借りすぎには注意してください。 すべて借りれば、返還も全部積み上がります。
Q. 成績が良くないと奨学金は借りられませんか?
第一種(無利子)は予約採用で評定平均3.5以上が原則ですが、基準に届かなくても、学修意欲が認められれば学力基準を満たすものとして扱われる救済があります。第二種は基準がより緩やかです。成績を理由に最初から諦めないでください。
Q. 入学金は奨学金で払えますか?
払えません。日本学生支援機構の奨学金は入学後に振り込まれるため、入学手続きの時点では手元にありません。入学時特別増額貸与奨学金も同様です。入学金と初年度前期の費用は、別に用意する必要があります。日本政策金融公庫の教育ローンなど、入学前に借りられる手段を早めに検討してください。
Q. 途中で学校を辞めたら奨学金はどうなりますか?
貸与型は借りた分の返還義務が残ります。給付型は、退学の事由によってはすでに受け取った分の返還を求められることがあります。病院奨学金の場合は契約に従い、一括返還を求められることもあります。だからこそ、契約時に「途中でやめた場合」の条項を確認しておくことが重要なのです。
Q. 私立でも学費が抑えられる方法はありますか?
あります。学校独自の特待生制度・成績優秀者奨学金を設けている私立校は多く、入試の成績によって初年度の授業料が減免される仕組みがよく使われています。これは募集要項の後ろのほうに小さく書かれていることが多いので、資料は最後のページまで読んでください。
Q. 奨学金の返還が始まったら、月いくらくらいになりますか?
借入総額と返還年数によります。目安として、第二種で月8万円を4年間借りると総額384万円になり、返還は15年以上に及びます。新人看護師の給与からこれを返し続けることになるので、借りる前に「毎月いくら返すことになるか」を必ず試算してください。 日本学生支援機構のサイトで返還シミュレーションができます。
Q. 一人暮らしと自宅通学で、どのくらい差が出ますか?
家賃や光熱費を月10万円とすると、3年で360万円、4年で480万円の差になります。学費そのものより大きな金額になることも珍しくありません。 志望校を選ぶ段階で、自宅から通える範囲に候補があるかどうかは必ず確認してください。
ただし、自宅通学でも実習先が遠方に散らばる学校だと交通費と時間の負担が続きます。逆に一人暮らしでも学校と実習先が近ければ移動の負担は小さい。単純な金額比較だけでなく、3年間・4年間その生活を続けられるかという視点で見てください。なお日本学生支援機構の給付型・第一種は自宅通学か自宅外通学かで支給額が変わるため、一人暮らしのほうが支援額は手厚くなります。
Q. 高校2年生ですが、いま何をしておけばいいですか?
3つあります。
ひとつめは評定平均を意識すること。第一種奨学金の予約採用は原則3.5以上が必要で、これは高校3年間の積み上げです。学校推薦型選抜でも評定は効きます。3年生になってから挽回するのは難しい数字です。
ふたつめは保護者と世帯の状況を共有しておくこと。多子世帯に該当するか、住民税の課税状況はどうか。ここが分かれば、使える制度がかなり絞り込めます。気まずい話題ですが、早いほうがいいです。
みっつめは志望校を2〜3校に絞って募集要項を取り寄せること。学費以外の費用、特待生制度、病院奨学金の有無は学校ごとに全然違います。3年生の春には予約採用の手続きが始まるので、その前に情報を持っておくと動きやすくなります。
まとめ:学費は「調べた人」が得をする
看護学校の学費は、公立専門学校の60万円台から私立大学の750万円まで、実に10倍以上の幅があります。そのうえで、使える制度も年々広がっています。
2025年度からは多子世帯の授業料等が所得制限なしで減免されるようになり、2026年度からは高校3年生の予約採用でも申し込めるようになりました。看護分野は人材確保が政策課題であるぶん、自治体や病院独自の支援も他分野より充実しています。
ただし、これらはすべて「自分から申し込む」ことが前提です。自動的に適用されるものはひとつもありません。締切を過ぎれば1年待ちになるものもあります。
まずやることは3つです。志望校の募集要項で学費以外の費用まで確認すること。高校の先生に予約採用の日程を聞くこと。そして、病院奨学金を検討するなら契約書を保護者と読むこと。
お金の問題は、早く知るほど選択肢が増えます。逆に、知るのが遅れるほど選べる道が減っていきます。ここだけは、後回しにしないでください。
最後にひとつ。学費の話は保護者に切り出しにくいものですが、制度の多くは世帯の状況をもとに判定されるため、本人だけでは調べようがありません。多子世帯に該当するのか、住民税はどうなっているのか。この確認なしには、使える制度が見えてこないのです。
「看護師になりたい。ついては、うちが対象になる支援があるか一緒に調べてほしい」——この一言から始めてください。進路の話より、そのほうが具体的で話が進みます。
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この記事の信頼性について
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- 現 看護大学 職員
本記事の制度情報は文部科学省・日本学生支援機構の公表資料に基づいています。
掲載情報について
学費および支援制度の金額は、学校・自治体・年度により異なります。掲載の金額は一般的なめやすであり、個別の金額や適用条件を保証するものではありません。実際の出願・申込にあたっては、必ず志望校の最新の募集要項および各制度の公式情報をご確認ください。

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