保健師になるには、看護師免許の取得が大前提になります。この記事では、現役の看護大学職員が保健師になるための3つのルート、選択制課程という最大の関門、国家試験の合格率、そして就職までの流れを、学校の内側から見た実情を交えて解説します。
「看護師よりも夜勤がなさそう」「公務員として安定して働けそう」——保健師にそんなイメージを持って進路を考える高校生は少なくありません。実際、保健師は地域の健康を支えるやりがいの大きな仕事です。ただ、看護師になるより工程が1つも2つも多く、途中に「自分の努力だけではどうにもならない関門」がいくつかあるのも事実です。ここを知らずに大学に入ると、3年生になってから進路を考え直すことになります。実際、毎年そうした相談を受けています。逆に言えば、高校生のうちに全体像を掴んでおけば、志望校選びの段階から手を打てるということでもあります。
💡 この記事のポイント
- 保健師になるには看護師国家試験と保健師国家試験の両方に合格する必要がある
- 多くの看護大学で保健師課程は選択制(選抜あり)。全員は進めない
- 第112回保健師国家試験の合格率は全体87.1%・新卒89.9%
- 就業保健師の約7割は行政保健師。就職には公務員試験が必要

保健師になるには?必要な資格と3つのルート
大前提:看護師免許がなければ保健師にはなれない
まず最初に押さえておきたいのが、保健師は看護師の上に積み上げる資格だということです。保健師助産師看護師法の改正により、現在は保健師国家試験に合格しただけでは保健師として登録・就業することができません。看護師国家試験にも合格し、看護師免許を取得している必要があります。
つまり、保健師を目指す人は在学中に次の2つを同時に達成しなければなりません。
4年間の看護課程を修了して受験資格を得る。全国で約6万人が受験する試験です。
保健師課程を履修した人だけが受験できる。受験者は約7,500人規模です。
この2つは同じ週に実施されます。2026年の場合、保健師国家試験が2月13日(金)、看護師国家試験が2月15日(日)でした。中2日です。4年生の2月に、範囲の異なる国家試験を立て続けに受けることになる——これが保健師を目指す人の最終局面の姿です。
ルート1:4年制看護大学の保健師課程(もっとも一般的)
現在もっとも多いのがこのルートです。4年制の看護系大学に進学し、看護師課程に加えて保健師課程を履修して、4年間で両方の受験資格を得ます。卒業と同時に2つの国家試験を受験できるため、最短で保健師になれる道です。
ただし、ここに最大の落とし穴があります。ほとんどの大学で、保健師課程は「選択制」になっています。 入学すれば自動的に履修できるわけではなく、学内選抜を通過した学生だけが進める仕組みです。この点はあとの章で詳しく扱います。
ルート2:保健師養成所・大学専攻科(1年課程)
看護師免許を取得した後、あるいは看護師課程を修了した後に、1年制の保健師養成課程に進むルートです。看護専門学校を卒業して看護師として働いてから保健師を目指す場合、実質的にこの道になります。
メリットは、看護師としての実務経験を持ったうえで公衆衛生を学べること。地域住民の生活を見る目は、臨床経験があるほうが確実に深くなります。デメリットは、養成所の数そのものが多くないことと、1年間収入が途絶えることです。通える範囲に養成課程があるかどうかは、住んでいる地域によってかなり差があります。
ルート3:大学院修士課程
看護系大学院の修士課程に保健師課程を置いている大学もあります。研究能力と実践力を同時に身につけられる道で、将来的に統括保健師や教育・研究職を視野に入れる人に向いています。ただし2年間かかり、進学のハードルも相応に高いため、高校生の段階から狙うルートというよりは、大学卒業後の選択肢として知っておくとよいでしょう。
3つのルートの比較

高校生の段階で保健師を志望しているなら、実質的な選択肢はルート1です。だからこそ、「どの大学に入るか」が保健師になれるかどうかを大きく左右します。
保健師になるには避けて通れない「選択制」という壁
なぜ全員が保健師課程に進めないのか
かつては、看護大学に入学すれば全員が保健師の受験資格を得られる時代がありました。しかし現在は、多くの大学で保健師課程が選択制になっています。定員は大学によりますが、1学年100名の看護学科に対して保健師課程は10〜20名程度という規模の大学が珍しくありません。
理由は、教育の質を確保するためです。保健師の実習は、市町村の保健センターや保健所といった行政機関で行われます。病院実習と違って、受け入れ先は自治体です。1つの自治体が一度に受け入れられる学生数には限りがあり、地域住民の個人情報や家庭訪問といったデリケートな現場を扱う以上、簡単に枠を増やすわけにはいきません。
📝 現役職員メモ:実習先の枠がすべてを決めている
保健師課程の定員は、大学が「人気がないから絞っている」わけではありません。実習を受け入れてくれる自治体との調整で決まります。地域の保健センターに何名まで配置できるか、指導保健師を何名確保できるか——毎年その積み上げで枠が決まるので、大学の努力だけでは増やせないのです。助産師課程が分娩数の制約で定員を増やせないのとまったく同じ構造だと思ってください。
だから「保健師課程の定員が少ない大学=教育に消極的」ではありません。むしろ実習の質を守るために、あえて絞っている大学が多いのが実情です。
選抜はいつ、どうやって行われるのか
選抜の時期は大学によって異なりますが、2年次の後半から3年次前半に行われることが多いです。選考の材料になるのは、主に次の3つです。
1年次の科目も含めた累積成績が使われるのが一般的。ここが最大の比重を占めます。
なぜ保健師を志すのか、地域保健に何を求めるのかを問われます。
関連科目の成績を重く見る大学もあります。
ここで多くの高校生が誤解しているのが、「1年次の成績が効いてくる」という点です。大学に入ると、最初の1年は一般教養科目が中心で、看護らしい科目は多くありません。「まだ本番じゃない」と気を抜いて単位を落としたり、可(C評価)ばかりを積み重ねたりすると、2年後の選抜でそれがそのまま響きます。
⚠️ 入学初日から成績を意識してほしい理由
保健師課程の選抜で使われるのは、多くの場合「入学してからの累積成績」です。つまり1年次前期の一般教養の1単位が、2年後の進路を決める材料になっているということ。
毎年、3年次のオリエンテーションで「保健師課程に行きたかったのに成績が足りなかった」と相談に来る学生がいます。本人は3年生になってから頑張るつもりだったのですが、選抜はもう終わっているのです。この時間差が、いちばん取り返しがつかないところです。
選抜に漏れたらどうなるのか
保健師課程に進めなかった場合でも、看護師の資格は問題なく取得できます。そのうえで保健師を目指すなら、卒業後に保健師養成所や大学院に進むルート(ルート2・3)に切り替えることになります。決して道が閉ざされるわけではありません。
ただし、その場合は追加で1〜2年の時間と学費がかかります。最初から「保健師課程の定員が多い大学」「保健師課程を全員必修にしている大学」を選んでおけば避けられたコストです。大学選びの段階でここを確認しておく意味は、そこにあります。
保健師になるには国家試験の突破が必要|合格率のリアル
第112回保健師国家試験の結果
2026年(令和8年)2月13日に実施された第112回保健師国家試験の結果は、厚生労働省から次のように発表されています。
※厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」より。既卒の数値は全体値と新卒値から算出。
出典:厚生労働省|第112回保健師国家試験の合格発表
合格基準は総得点145点満点中87点以上、つまりおおむね6割です。絶対評価に近い形式なので、しっかり準備すれば手の届く試験ではあります。
新卒と既卒で約59ポイントの差がある
この表でいちばん見てほしいのが、新卒89.9%に対して既卒30.7%という数字です。差は約59ポイント。看護師国家試験でも新卒と既卒の差は大きいのですが、保健師はそれ以上に開いています。
理由は単純で、既卒受験者の多くは看護師として働きながら受験しているからです。日勤・夜勤をこなしながら公衆衛生看護学・疫学・保健統計学・保健医療福祉行政論を独学で仕上げるのは、現実的にかなり厳しい。学校の国試対策も受けられません。
ここから導かれる結論は1つです。保健師を目指すなら、在学中に一度で合格する前提で計画を組んでください。 「落ちたら来年また受ければいい」という発想は、この数字を見る限り成り立ちません。
看護師国家試験との「ダブル受験」という現実
もう1つ、見落とされがちな負担があります。同じ週に2つの国家試験を受けるということです。
第115回看護師国家試験の合格率は全体88.3%、新卒94.1%でした。保健師課程を履修している学生は、看護師国試の勉強に加えて保健師国試の勉強も並行することになります。4年次の後期は、卒業研究・就職活動・実習・2つの国試対策が同時進行します。
📝 現役職員メモ:4年次後期のスケジュールは想像より過酷
保健師課程を選んだ学生の4年次後期は、正直に言ってかなり厳しいです。保健師の実習が加わり、公務員試験を受けるならその対策も並行します。看護師国試だけの同級生が就職を決めて落ち着いている時期に、保健師組はまだ走っています。
それでも毎年ちゃんと乗り切る学生がいるのは、2年次の選抜を通った時点で「そのつもりの覚悟」ができているからだと思います。逆に言えば、なんとなく選ぶと途中でしんどくなる課程です。
保健師になるには就職の関門もある|公務員試験という第二の壁
就業保健師の約7割は行政保健師
国家試験に合格して免許を取っても、それは「保健師として働ける資格を得た」だけです。ここからもう1つ関門があります。
厚生労働省の衛生行政報告例によると、2024年末時点で就業している保健師は約63,500人。そのうち市区町村が約33,200人、保健所が約9,600人、都道府県が約2,000人で、全体の約7割が行政機関に所属しています。一方、企業で働く産業保健師は約5,000人で、全体の7.9%にとどまります。
※厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」の数値をもとに作成。
自治体保健師になるには公務員試験が必要
ここが最大のポイントです。行政保健師は地方公務員です。 つまり就職するには、各自治体が実施する採用試験を受けて合格しなければなりません。
看護師なら、病院の採用試験を受けて内定をもらう流れが一般的です。しかし自治体保健師の場合は、教養試験・専門試験・論文・面接といった公務員試験のプロセスを踏みます。しかも採用予定人数は自治体あたり数名ということが珍しくありません。市によっては「今年度は若干名」あるいは「募集なし」という年もあります。
スケジュール面も見落とせません。自治体の採用試験は、多くが4年次の夏(6〜9月)に行われます。この時期は保健師実習や卒業研究と重なります。さらに、複数の自治体を併願しようとすると試験日程が重複することもあります。
⚠️ 保健師免許を取っても保健師にならない人が一定数いる
保健師課程を修了し、国家試験にも合格しながら、卒業後は病院に看護師として就職する——これは決して珍しいことではありません。公務員試験に届かなかった、募集がなかった、あるいは臨床を経験してから地域に出たいと考え直した、と理由はさまざまです。
これは失敗ではありません。保健師免許は失効しないので、看護師として数年働いてから改めて自治体の採用試験を受ける人もいます。むしろ臨床経験がある保健師は現場で強い。ただ、「保健師課程に進めば保健師になれる」わけではないことは、進路を決める段階で知っておいてほしいと思います。
産業保健師は狭き門
「企業で働く保健師になりたい」という希望もよく聞きます。産業保健師は健康経営やメンタルヘルス対策の広がりで注目度が上がっており、実際に全体に占める割合も少しずつ増えています。
ただし人数を見ると約5,000人。しかも1社に1人という職場が多く、新卒採用の枠はさらに限られます。企業側としては、社員への保健指導を任せる以上、ある程度の臨床経験や社会人経験を求めるのが自然です。産業保健師を目指す場合、新卒でいきなりというより、看護師や行政保健師を数年経験してから転じるキャリアのほうが現実的です。
保健師になるには仕事の中身を知っておく|行政保健師の1年
進路を決める前に、実際の仕事の姿も見ておきましょう。保健師という職種は、看護師と比べてイメージが漠然としたまま志望されやすい職業です。ここがぼんやりしていると、選抜の志望理由書でも書けることがなくなります。
対象は「病気の人」ではなく「地域全体」
看護師と保健師の最大の違いは、対象です。看護師が目の前の患者さんを看るのに対し、保健師が向き合うのはまだ病気になっていない人を含めた地域住民全体です。健康な人、健康診断で引っかかった人、育児に悩んでいる人、介護が始まりそうな家族——支援の対象は病院に来ない人たちにまで広がります。
だから保健師の仕事は「待っている」のではなく「出向いていく」のが基本になります。家庭訪問、健康教室、地区の会合。地域に足を運んで、住民の暮らしのなかに入っていきます。
市区町村保健師の主な業務
もっとも人数が多い市区町村の保健師は、おおむね次のような領域を担当します。自治体の規模によっては、これらを1人で兼務することもあります。
母子健康手帳の交付、乳幼児健診、新生児訪問、育児相談。虐待の予防と早期発見も重要な役割です。
特定健診・特定保健指導、生活習慣病予防、介護予防事業、地域包括支援センターでの相談業務。
こころの健康相談、精神疾患を持つ人と家族の支援、社会復帰の調整、自殺対策。
予防接種の管理、感染症発生時の対応、災害時の避難所での保健活動。
もう1つ、外から見えにくい業務があります。事業の企画と計画づくりです。地域の健康課題をデータから読み取り、予算を組み、事業を立ち上げて評価する。保健師国家試験に保健統計学や保健医療福祉行政論が含まれているのは、この仕事があるからです。住民と向き合う仕事であると同時に、行政の一員として計画を回す仕事でもあります。
📝 現役職員メモ:卒業生が語る保健師のやりがいと難しさ
保健師になった卒業生が口を揃えて言うのは、「結果が出るまでが長い」ということです。看護師なら、処置をして患者さんが回復していく過程が見えます。保健師の仕事は予防なので、成果は「何も起こらなかった」という形で表れる。乳幼児健診で気になった親子に関わり続けて、何年か経って元気に小学校に上がっていく——それが成果です。
その代わり、長く関われます。1人の住民、1つの家族を年単位で見続けられるのは、病棟ではなかなかできないことです。「地域の人の人生に伴走する感覚がある」と話してくれた卒業生がいて、その表現がいちばん的確だと思いました。
保健師になるには大学選びが重要|確認すべき5つのポイント
ここまで読むと分かるとおり、保健師になれるかどうかは大学に入った後の環境にかなり左右されます。オープンキャンパスや資料請求の段階で、次の5点は必ず確認してください。
1. 保健師課程は選択制か、全員履修か
まずここです。全員が保健師課程を履修できる大学であれば、選抜の心配はありません。選択制の場合は、次の項目に進みます。募集要項やパンフレットに「保健師課程(選択制・定員○名)」と書かれているはずなので、探してみてください。
2. 保健師課程の定員は何名か
看護学科の定員に対して、保健師課程の定員が何名かを確認します。1学年80名に対して保健師課程20名なら4人に1人、10名なら8人に1人です。この比率が、あなたが目指す難易度そのものになります。
3. 選抜方法が公開されているか
選抜基準を明示している大学は信頼できます。「GPAを主とし、志望理由書と面接を加味する」といった説明があれば、入学後に何をすべきかが明確になります。逆に「詳細は入学後に案内します」としか書かれていない場合は、オープンキャンパスで直接質問してみてください。
4. 保健師国試の合格率と「受験者数」を必ずセットで見る
大学のパンフレットには保健師国試の合格率が載っています。ここで注意したいのが、合格率だけを見ないことです。必ず受験者数と一緒に確認してください。
保健師課程が10名の大学と50名の大学では、同じ100%でも意味がまったく違います。人数の少ない課程では、そもそも選抜を通った学生だけが受験しているので、高い数字が出やすい構造になっています。数字の背景にある人数まで見て、はじめて比較ができます。
5. 公務員試験対策のサポートがあるか
意外と差がつくのがここです。自治体保健師を目指すなら公務員試験の対策が必要ですが、大学によって支援体制はまったく違います。学内で公務員試験対策講座を開いている大学、キャリアセンターが自治体別の過去問や受験報告を蓄積している大学、逆にほぼ学生任せの大学もあります。
📝 現役職員メモ:オープンキャンパスで聞くと差が出る質問
「保健師課程の定員は何名ですか」——これはパンフレットにも書いてあります。もう一歩踏み込むなら、こう聞いてみてください。
「昨年度、保健師課程を希望した学生は何名で、そのうち何名が進めましたか」
定員は公表されていても、希望者数は公表されていないことが多いです。ここに実際の倍率が表れます。答えられる大学は、学生の進路をきちんと把握している大学です。
もう1つ、「保健師課程を修了した学生のうち、実際に保健師として就職したのは何名ですか」も効きます。免許取得と就職は別だからです。この2つに具体的な数字で答えてくれる大学は、まず信頼していいと思います。
保健師になるには?よくある質問
Q. 看護専門学校からでも保健師になれますか?
なれます。ただし専門学校の看護師課程では保健師の受験資格は得られないため、卒業後に保健師養成所(1年課程)や大学の専攻科、あるいは看護大学への編入を経る必要があります。時間と学費が追加でかかるので、高校生の段階で保健師を明確に志望しているなら、4年制大学のほうが効率的です。ただ「看護師として働いてみてから決めたい」という考え方も十分にありです。
Q. 保健師国家試験は看護師国家試験より難しいですか?
合格率だけを比べると、第112回保健師87.1%・第115回看護師88.3%とほぼ同水準です。ただし出題範囲が違います。保健師国試は公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論が中心で、統計や法制度といった暗記量の多い分野の比重が高いのが特徴です。臨床看護の延長では対応できないので、別の試験として準備する必要があります。
Q. 保健師課程と助産師課程は両方履修できますか?
大学によりますが、基本的には難しいと考えてください。どちらも選択制で、履修時間も実習も重なるため、併願・併修を認めていない大学がほとんどです。両方に興味がある場合は、どちらを本命にするかを2年次までに決めておく必要があります。オープンキャンパスで「保健師と助産師の併修は可能ですか」と確認しておきましょう。
Q. 保健師は夜勤がないと聞きましたが本当ですか?
行政保健師は基本的に日勤で、公務員としての勤務時間になります。この点は病棟看護師と大きく違います。ただし災害時や感染症の流行時には、まったく別の働き方になります。健康危機管理は保健所・保健センターの中核業務であり、平時と有事で仕事の姿が変わる職種だということは知っておいてください。
Q. 男性でも保健師になれますか?
なれます。かつては「保健婦」という女性限定の資格でしたが、1993年の法改正で男性にも門戸が開かれ、2001年に「保健師」へ名称が統一されました。人数としてはまだ少数ですが、行政・産業いずれの分野でも男性保健師は活躍しています。
Q. 保健師課程の選抜に落ちたら、大学を辞めるべきですか?
その必要はまったくありません。看護師の資格は問題なく取得できますし、卒業後に保健師養成所や大学院へ進む道が残っています。むしろ臨床経験を積んでから保健師になる人は、現場で重宝されます。地域で出会う住民は病気を持った人も多く、臨床の目があるかどうかで見立ての精度が変わるからです。選抜に落ちたことは、遠回りではあっても失敗ではありません。
Q. 保健師の給料は看護師と比べてどうですか?
行政保健師は地方公務員の給与表が適用されるため、初任給は病院看護師より低めになることが多いです。看護師には夜勤手当がつく一方、行政保健師には基本的にそれがないためです。ただし公務員は勤続に応じて安定的に昇給し、福利厚生や休暇制度も整っています。生涯賃金という視点では単純比較できないので、目先の初任給だけで判断しないことをおすすめします。
Q. 保健師を目指すなら国公立と私立、どちらがよいですか?
資格取得の観点では、どちらでも変わりません。学費は国公立が圧倒的に有利ですが、私立でも保健師課程を全員必修にしていたり、定員を多く確保していたりする大学があります。「国公立だから保健師になりやすい」ということはないので、設置形態ではなく、この記事で挙げた5つのポイントで比較してください。
まとめ:保健師になるには「3つの関門」を順に越える
最後に整理します。保健師になるには、次の3つを順番に越えていくことになります。
1年次からの成績が効く。入学初日からが勝負です。
既卒合格率30.7%。現役で一度に決めるのが前提です。
行政保健師は地方公務員。採用は数名規模のことも。
こう書くと厳しく見えるかもしれません。実際、看護師になるより工程は多いです。ただ、この3つはいずれも「早く知っていれば手を打てる」種類の関門でもあります。1年次の成績を大事にする、保健師課程の定員が多い大学を選ぶ、公務員試験対策のある大学を選ぶ——どれも進路選択の段階で対策できることばかりです。
地域まるごとの健康を見る仕事は、看護師とはまた違う面白さがあります。乳幼児健診で出会った親子を、その後何年も見続けられる。感染症が広がったとき、地域全体を守る側に立てる。そういう仕事に惹かれるなら、この3つの関門は越える価値のあるものだと思います。
まずは志望校の募集要項で「保健師課程」の欄を開いて、定員が何名か確かめるところから始めてみてください。
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本記事の統計数値は厚生労働省の公表資料に基づいています。選抜方法や定員は大学により異なるため、志望校の最新の募集要項を必ずご確認ください。


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