夏休みはオープンキャンパスのシーズン。看護学校や看護大学を目指す高校生のみなさんも、これから何校か回る予定があるのではないでしょうか。
私は看護系の教育機関に10年以上勤めていて、オープンキャンパスは「迎える側」として数えきれないほど経験してきました。今日はその立場から、学校側がオープンキャンパスをどう作っているのか、そして受験生のみなさんにどこを見て帰ってほしいのかを、正直にお話しします。
💡 この記事のポイント
- オープンキャンパスは学校の「一番良い日」。演出の外側を見よう
- 本音がいちばん聞けるのは案内役の在校生
- 個別相談は遠慮の場じゃない。数字を聞く場
- 帰り道の通学実測まで含めてオープンキャンパス
まず知ってほしい — オープンキャンパスは学校の「一番良い日」
学校側も、見せ方を練りに練っている
身も蓋もない話から始めますが、オープンキャンパスは学校にとって最大の広報イベントです。何ヶ月も前から企画会議をして、案内役には感じの良い在校生を選び、見せる教室は整え、プログラムはいちばん魅力が伝わる順番に組みます。つまりみなさんが見るのは、その学校の365日の中でいちばん化粧が乗った1日です。
これは別に悪いことではありません。どの学校もやっていることですし、迎える側の私たちも「せっかく来てくれるんだから良いものを見せたい」という気持ちで準備しています。ただ、受験生の側は「今日見たものが日常だ」と思い込まないこと。ここが大事です。
だからこそ「演出の外側」に日常が漏れる
どれだけ準備しても、学校の日常は細部に漏れます。廊下の掲示物、実習室の道具の使い込まれ方、すれ違う(案内役ではない)在校生の表情、教員同士の会話のトーン。演出されたプログラムの「すき間」にこそ、その学校の素顔があります。以下、具体的にどこを見ればいいかをお伝えしますね。
現役職員がすすめる、当日のチェックポイント5つ
① 案内役の在校生に「ぶっちゃけ」を聞く
オープンキャンパスでいちばん価値のある情報源は、パンフレットでも教員の説明でもなく、案内をしてくれる在校生です。彼ら彼女らは広報のプロではないので、率直に聞けば率直に返ってきます。おすすめの質問はこのあたり。
「1日の勉強時間はどれくらいですか?」「課題はきついですか?」「入学前とのギャップはありましたか?」「先生には質問しやすいですか?」——ポイントは、学校の良し悪しを直接聞くのではなく、その人自身の日常を聞くこと。学生は自分の話なら本音で答えてくれます。答えの内容そのものより、答えるときの表情や間が正直だったりしますよ。
② 実習室は「新しさ」より「使い込まれ方」を見る
見学コースには必ず実習室(演習室)が入ります。ここで見てほしいのは設備の新しさ……ではなく、ちゃんと使われている形跡があるかです。モデル人形やベッド、シミュレーターがきれいに並んでいるのは当たり前。ベッド柵に使用感があるか、物品が学生の手に取りやすく配置されているか、演習スケジュール表が掲示されているか。ピカピカすぎて生活感のない実習室は、「見せるための部屋」の可能性もあります。逆に、少し年季が入っていても手入れされて使い込まれた実習室は、演習量の多さの証拠です。
③ 教員と学生の「距離感」を観察する
プログラムの合間に、教員と在校生が話している場面があったら、少しだけ観察してみてください。学生が教員に気軽に話しかけているか、それとも妙にかしこまっているか。看護教育は教員と学生の距離が近いほど、つまずいたときに拾ってもらいやすい世界です。国家試験の合格率が安定している学校は、たいていこの距離が近い。数字の裏側は、こういう空気に表れます。
④ 個別相談では「数字」を聞く
個別相談コーナーは、雑談や不安相談の場だと思われがちですが、職員の立場から言うと数字を聞くのにいちばん適した場です。全体説明の場では聞きにくいことも、1対1なら聞けます。聞くべきは「過去3年分の国家試験合格率と受験者数」「国家試験を受験できなかった学生の人数」「学費以外に実際かかる費用(教科書・実習着・実習交通費など)」の3点。
数字の聞き方と読み解き方は、別のコラムで詳しく解説しています → 看護学校の国試合格率100%のカラクリと正しい見方
⑤ 帰り道に「通学」を実測する
最後は校門を出てからの話です。オープンキャンパスは休日開催が多いので、平日の通学ラッシュとは条件が違いますが、それでも最寄り駅からの徒歩時間、坂道の有無、乗り換えの手間は必ず体感して帰ってください。看護学生の3〜4年間は、朝の実習集合や国試前の追い込みなど、通学負担が体力に直結する場面の連続です。「片道90分でも頑張れると思った」が入学後いちばん後悔されるポイントのひとつ、というのは進路相談の現場でよく聞く話です。
聞きにくいことこそ、聞いていい
職員は「鋭い質問」を嫌がらない
「退学する人は多いですか?」「合格率の分母を教えてください」——こういう質問、しづらいですよね。でも安心してください。誠実に運営している学校ほど、こういう質問を歓迎します。答えられるだけの実態があるからです。逆に、質問をはぐらかされたり、急に歯切れが悪くなったりしたら、それ自体が重要な情報です。
あなたがこれから払うのは、3〜4年の時間と数百万円の学費です。それだけの買い物の中身を確認するのは、失礼どころか当然の権利ですよ。
保護者の方へ — 質問は「本人に」させてあげてください
これは迎える側からの小さなお願いなのですが、個別相談で保護者の方だけが話し、本人がずっと黙っている組み合わせを毎年たくさん見ます。気持ちはよく分かります。ただ、入学後に学校とやり取りするのは本人ですし、面接練習の意味でも、質問は本人の口から言わせてあげてほしいのです。職員は高校生の拙い質問に慣れていますから、うまく話せなくてもまったく問題ありません。
事前に1問でいいです考えてきてください。また、すでに説明があったものでも構わないです。
時間の都合上省いていることはたくさんあります。説明があったんですが、興味を持っていて
詳しく聞きたいのですとおっしゃってください⭐️
行けない学校は資料とデータで補う
日程や距離の都合で全部は回れない、という人も多いと思います。行けない学校については、資料請求でパンフレットを取り寄せたうえで、客観データ(偏差値と国試合格率)で比較するのが現実的です。当サイトの都道府県別記事では、各校の偏差値と第115回国家試験の合格率・受験者数をまとめているので、候補の絞り込みに使ってください。絞ってから現地に行く、の順番が効率的です。
まとめ — 「見せられたもの」と「見つけたもの」を分けて持ち帰る
オープンキャンパスから帰ったら、メモを2つに分けてみてください。ひとつは学校が見せてくれたもの(プログラム・説明・パンフレットの内容)。もうひとつは、自分が見つけたもの(在校生の本音、実習室の使用感、教員との距離、通学の体感)。進路の決め手にすべきは、圧倒的に後者です。
暑い中での学校巡り、体調に気をつけて。みなさんが「ここなら3年間(4年間)やれる」と思える学校に出会えることを、迎える側の一人として願っています。
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